今週のキャリッジさん

とある銀座の零細システム会社の社員ブログ

株式会社設立の決意 2 -利益率の削減-

12月 15th, 2009

こんばんは、キャリッジさんです。
前回、事業コンセプトについてお伺いしたところ、彼は新しいコンセプトと言うよりはサラリーマンという立場ではできなかったことをやりたいとの事でした。
今日はそれらについて聞いていこうと思います。


キャリッジさん
 サラリーマンという立場ではできなかったことというのが次の5つでしたが、それぞれその背景と実際に行った事、結果などを教えてもらえますか。

 1)中間コストの大幅な削減
 2)経営機能の分散
 3)独自のツール群確立
 4)一人でも生きていける社員
 5)資金調達


 まず、最初にお断りさせていただかなければならないのですが、私はいわゆる客先常駐型ビジネス(以下人月商売)を効率的に行うにはどうしたらいいのかを考え、試行錯誤しているという点です。
 IT業界全体のトレンドとしては特に中小企業は客先常駐型の人月商売からの脱却を目指しています。実は私たちの試行錯誤は時代錯誤だったりします。それを念頭にお読みいただければと思います。
 人月商売からの脱却については船井総研のコンサルタント長島 淳治さんの書籍やセミナーがお勧めですので是非そちらをご覧ください。



 
長島 淳治さんのプロフィール

 


1) 中間コストの大幅な削減について


 人月商売の人月価格(最終売価)はざっくり次の式で決まります。



人月単価 = ( 営業費 + 会社維持費 + 給与 )×( 1 + 利益率 ) …①



 この計算式で求められた人月単価でお客様との契約がなされます。単価が合わないときは利益率を調整します。

 営業費は、技術者を案件に投入する為の費用で主に営業さんの給与やお客様への接待などがそれに当たります。
 会社維持費は、管理職の給与や役員報酬、会社の賃貸料、事務職さんの給与、税理士、弁護士費用、教育費用がそれに当たります。
 給与は、”原価”にあたり技術者の給与や退職金積み立て、ボーナス原資などに当たります。
 利益率は、配当や保留金に当たります。

 私がサラリーマンのときに教えてもらった式はもう少し複雑なものでしたが大体こんなものです。

 で、月給取りである私は当然のごとく左辺に給与を持ってきて次のように直しましたよ。




給与 = 人月単価/( 1 + 利益率 ) – 営業費 – 会社維持費 …②



 人月単価以外のファクタは給与のための中間コストでしかない!!と言わんばかりの過激な式です。
 しかも若気の至りで、給与≒提供サービスの質と定義してしまった訳ですよ。(何たる自己中&独善!!)



提供サービスの質 = 人月単価/( 1 + 利益率 ) – 営業費 – 会社維持費 …③



 すなわち、技術者が提供するサービスの質を上げるには人月単価を上げるか、その他のファクター(利益率、営業費、会社維持費)を0もしくはそれ以下にすればよいと。
 飲みの席でしたが、これを話したときには鼻で笑われましたよ。利益率、営業費、会社維持費を0にするということは会社が存在しないということだ。どうやって給与を払うんだとね。
 
 でも、この式をモデルに会社を始め、コストを削減してみることにしましたよ。



 1)-1 利益率の削減


 利益率の削減って変な話ですが、③式は利益率が減れば減るほどと提供サービスの質があがります。お客さんのためには利益率を下げた方が良いということになります。
 利益率の削減といって困るの主な人は株主です。なので、株主には社内の人間のみがなれるとしました。
 そうすれば、もらうのが給与か配当かの違いだけになりますので誰も困りませんよね。

 定款にこんなのを追加して、社長が過半数を取得しておけば大丈夫です。
 

(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには、 株主総会 の承認を受けなければならない。

定款については、先に紹介した株式会社の作り方と運営の3章株式会社の設立登記あたりに詳しく書いてあります。参考にしてみてください。



 この式の面白いところは、利益率が0より小さくなると給与が人月単価より大きくなる可能性があるということです。
 利益とはお金も含めて会社に残るものとし、技術や手法、お客様との関係、面倒な経営を効率化する方法なども利益として考え、これらを”表出化”していくことが利益率を0より小さくすると定義しました。
 その結果、提供サービスや給与が向上すると。屈理屈のようなこの考え方もマンザラじゃありませんでしたよ。

 まず、社員や役員をリクルートするときに②③式を提示し説明しました。するとそれがフィルターとなり向上心あふれる野心的な人だけが残ってくれました。
 なんやかんやで一時期は10名程度になり今は7名で落ち着いています。(誰も自分のこと野心的とは考えていないようですが、他で十分やっていけるのに当社を選ぶこと自体野心的だと思います。)
 
 次に後述の施策で営業費や会社維持費を0に近づけると労働分配率が他社の1.5~2倍程度になり、それを維持もしくはさらに向上させようと仕事に対する士気が高くなりました。

 十分なコンセンサスが前提となりますが、社員、役員が②式のマイナス利益を理解すると自分が持っている技術やノウハウの表出化をはじめました。
 彼らいわく”立ち位置が分かった”とのことで、オンライン勤怠管理システムや給与明細自動送付システム、写真管理アプリケーション、株式投資システム、GAEを用いた実験、はたまた教育サービス(塾)等が次々にリリースされていきました。おかけでこれまでSaasを利用していた業務がすべて内製品となり、経営維持費の削減につながっています。

 目下の課題は、これらシステムやサービスを0円で世の中に公開することを前提に、どう彼らの給与に反映していくかにあります。
 人月商売のモデルを紐解いて、どうあれパッケージが生まれたのですから、利益率の削減にチャレンジした甲斐があったと思っています。
 
 長文になってしまったので、 1)-2 営業費の削減 以降は次回にさせてくださいm(_ _)m

【今日のポイント】

給与 = 人月単価/( 1 + 利益率 ) – 営業費 – 会社維持費

利益率の削減

株式の譲渡制限

利益率が0より小さくなると給与が人月単価より大きくなる

労働分配率

技術やノウハウの表出化



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