こんばんは、キャリッジさんです。 前回に引き続き、彼に起業時のコンセプトについて、話してもらおうと思います。 今回は営業費の削減についてです。 内容はこんな感じになります。よろしければお付き合いください。 べつやくメソッド 彼 まず、前回と同じように最初にお断りさせていただかなければならないのですが、私は客先常駐型ビジネス(人月商売)を行ううえで試行錯誤しているという点です。 IT業界、特に中小企業のトレンドとしては人月商売からの脱却を目指しています。ここに書かれた試行錯誤は実は時代錯誤だったりします。 それを念頭にお読みいただければと思います。 1)-2 営業費の削減 営業費の削減についてですが、営業費※1云々の前にそもそも営業をおくほど余裕もないし、実績もない木っ端会社は営業してもその効果は殆どないだろうなぁと思っていました。 ※1 営業費は、技術者を案件に投入する為の費用で主に営業さんの給与やお客様への接待などがそれに当たります。 営業は世間に認められ利益拡大の機会を増やす行為、というよりむしろ"生き残る"為の行為なのかなと。 きっとマズローの欲求と同じような段階を踏んでやりたいことが出来るようになるんだなと考えましたね。 生き残るためにはサラリーマン時代の経験から、"常に選ばれ続ける"か"紹介したくなる何か持つ"の2つが重要になると思いました。 とはいうものの、これまで選ぶ立場にも紹介する立場にもなかった私が考えても独りよがりになってしまうので、これまでお付き合いさせていただいたお客様に聞いてみました。 「協力会社にどんな会社を選びますか?」 「財務状況とか、過去の取引実績とかを見るね。会社に規定があり、それに従うよ。」 こりゃだめだ、、、 「小さい会社が取引できる可能性はありますか?」 「特別なものを持っていれば取引できるよ。でも、社内手続きは色々面倒だね。直接取引きではないけれども、2次請けまではOKだから、すでにうちと取引がある会社を巻き込んじゃうという手もある。」 2次請けか、会社としてはこのラインならばありそうだな。 IT系の大手は大体こんな感じだそうです。 「内工、外工にかかわらず、どんな人と仕事をしたいですか?」 「そりゃ、手のかからない人だよ。」 ふむふむ、手のかからない人か。 管理職やプロジェクトマネジャと呼ばれる人たちの労力のうち70%以上がコミュニケーションに回されるといいます。 また、ある高いポジションにいる方に、プロジェクトをウマくいかせたいのならば"マネジャじゃなくてサーバント"になればいいんだよと教えられたことがあります。 彼らは"調整"が主な仕事ということか? "調整"が主な仕事である人のいう"手のかからない人"というのは、一回で話が通じる人、すなわち"ちゃんとしたコミュニケーション"が取れる人のことを指していると考えました。 内の会社の技術者がPMBOKでいうところのコミュニケーションマネジメントの知識※2や、SDIで言うところのスタイルごとのネゴ方法※3を習得し、お客様を支援することが出来れば営業費を削減する(というよりは生き残る)可能性につながると結論付けました。 ※2 ステークホルダやコミュニケーションハブの認識などの知識 ※3 ××さんは赤(アサーティブ)だから効果を強調しようなどの方法 PMBOKやSDKの知識や方法を社員が身に付けるために、、、 まず、私自身が実践し効果があることを繰り返し話すことで社内の共通認識にしました。 次に、私事仕事にかかわらず会話に用語を混ぜてみたり、社員に求める報告書にPMBOKに基づく事項を入れたり、HotPotatoes※4によるe-learningを実施してみたりと、これら知識体系に触れる機会を出来るだけ増やしました。 最後は、現場で"ちゃんとしたコミュニケーション"を実践しているかどうかを会話のやり取りで確認しました。上記2点が一方通行であるのに対し、これは双方向です。誰に情報が集まるの?とかxxxさんの色はなに色?といった具合です。 ※4 HotPotatoes はカナダのビクトリア大学で開発された秀逸なe-learning構築ソフトです。当社の場合は社内ポータルにxoopsを利用しており、XoopsHP Support Site (問題集作成モジュール)にてHotpotatoesを社内ポータルに組み込んでいます。別の機会に詳しく書きたいと思います。 "ちゃんとしたコミュニケーション"の実践により、直接のお客様から評価をいただき営業上の戦術に当社が組み込まれるようになっていきました。 例えば、経験の浅い社員さんと当社技術者をセットにして提案していただくとか、発注元との初取引に際しその初期要員に抜擢されるとか、あるサイトを丸々任せていただく等です。 同業他社様の中には「丸投げやん、、、」と否定的に言われる方もおられますが、むしろ"手のかからない人(達)"になってきていると前向きに評価しています。 過去に仕事をご一緒した発注元企業様から技術者の空状況のお問い合わせをいただけるようになったことや、リーマン恐慌後も非稼動なく今日に至っているところを見ますとそれなりに効果があったと見ています。 また、想定外だったのですが、お付き合いをさせていただいた50%以上のお客様から、年次の浅い社員さんのOJTをお願いされる現象に遭遇しています。 仮にそれが"手のかからない人"に伴う結果だとしたら、ノウハウを蓄えることで"紹介したくなる何か"につなげて行けるのではないかとこれまた前向きに考えています。 次回は 会社維持費の削減 について書かせていただきたいと思います。 【今日のポイント】 木っ端会社は営業してもその効果は殆どない "生き残る"為の行為 そりゃ、手のかからない人だよ。 "マネジャじゃなくてサーバント" "ちゃんとしたコミュニケーション" Hotpotatoes
株式会社設立の決意 2 -利益率の削減-
こんばんは、キャリッジさんです。 前回、事業コンセプトについてお伺いしたところ、彼は新しいコンセプトと言うよりはサラリーマンという立場ではできなかったことをやりたいとの事でした。 今日はそれらについて聞いていこうと思います。 キャリッジさん サラリーマンという立場ではできなかったことというのが次の5つでしたが、それぞれその背景と実際に行った事、結果などを教えてもらえますか。 1)中間コストの大幅な削減 2)経営機能の分散 3)独自のツール群確立 4)一人でも生きていける社員 5)資金調達 彼 まず、最初にお断りさせていただかなければならないのですが、私はいわゆる客先常駐型ビジネス(以下人月商売)を効率的に行うにはどうしたらいいのかを考え、試行錯誤しているという点です。 IT業界全体のトレンドとしては特に中小企業は客先常駐型の人月商売からの脱却を目指しています。実は私たちの試行錯誤は時代錯誤だったりします。それを念頭にお読みいただければと思います。 人月商売からの脱却については船井総研のコンサルタント長島 淳治さんの書籍やセミナーがお勧めですので是非そちらをご覧ください。 長島 淳治さんのプロフィール 1) 中間コストの大幅な削減について 人月商売の人月価格(最終売価)はざっくり次の式で決まります。 人月単価 = ( 営業費 + 会社維持費 + 給与 )×( 1 + 利益率 ) …① この計算式で求められた人月単価でお客様との契約がなされます。単価が合わないときは利益率を調整します。 営業費は、技術者を案件に投入する為の費用で主に営業さんの給与やお客様への接待などがそれに当たります。 会社維持費は、管理職の給与や役員報酬、会社の賃貸料、事務職さんの給与、税理士、弁護士費用、教育費用がそれに当たります。 給与は、"原価"にあたり技術者の給与や退職金積み立て、ボーナス原資などに当たります。 利益率は、配当や保留金に当たります。 私がサラリーマンのときに教えてもらった式はもう少し複雑なものでしたが大体こんなものです。 で、月給取りである私は当然のごとく左辺に給与を持ってきて次のように直しましたよ。 給与 = 人月単価/( 1 + 利益率 ) - 営業費 - 会社維持費 …② 人月単価以外のファクタは給与のための中間コストでしかない!!と言わんばかりの過激な式です。 しかも若気の至りで、給与≒提供サービスの質と定義してしまった訳ですよ。(何たる自己中&独善!!) 提供サービスの質 = 人月単価/( 1 + 利益率 ) - 営業費 - 会社維持費 …③ すなわち、技術者が提供するサービスの質を上げるには人月単価を上げるか、その他のファクター(利益率、営業費、会社維持費)を0もしくはそれ以下にすればよいと。 飲みの席でしたが、これを話したときには鼻で笑われましたよ。利益率、営業費、会社維持費を0にするということは会社が存在しないということだ。どうやって給与を払うんだとね。 でも、この式をモデルに会社を始め、コストを削減してみることにしましたよ。 1)-1 利益率の削減 利益率の削減って変な話ですが、③式は利益率が減れば減るほどと提供サービスの質があがります。お客さんのためには利益率を下げた方が良いということになります。 利益率の削減といって困るの主な人は株主です。なので、株主には社内の人間のみがなれるとしました。 そうすれば、もらうのが給与か配当かの違いだけになりますので誰も困りませんよね。 定款にこんなのを追加して、社長が過半数を取得しておけば大丈夫です。 (株式の譲渡制限) 第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには、 株主総会 の承認を受けなければならない。 定款については、先に紹介した株式会社の作り方と運営の3章株式会社の設立登記あたりに詳しく書いてあります。参考にしてみてください。 この式の面白いところは、利益率が0より小さくなると給与が人月単価より大きくなる可能性があるということです。 利益とはお金も含めて会社に残るものとし、技術や手法、お客様との関係、面倒な経営を効率化する方法なども利益として考え、これらを"表出化"していくことが利益率を0より小さくすると定義しました。 その結果、提供サービスや給与が向上すると。屈理屈のようなこの考え方もマンザラじゃありませんでしたよ。 まず、社員や役員をリクルートするときに②③式を提示し説明しました。するとそれがフィルターとなり向上心あふれる野心的な人だけが残ってくれました。 なんやかんやで一時期は10名程度になり今は7名で落ち着いています。(誰も自分のこと野心的とは考えていないようですが、他で十分やっていけるのに当社を選ぶこと自体野心的だと思います。) 次に後述の施策で営業費や会社維持費を0に近づけると労働分配率が他社の1 Read More...
株式会社設立の決意 1
こんばんは、キャリッジさんです。 さて、前回「彼のサラリーマン時代から独立に至るまでの実践してきた事を書こうと思う」と書いたが、キャリッジさんのフィルタをいれずに株式会社設立の決意について直接彼にヒアリングしてみようと思う。 キャリッジさん 強い意志や思い切りが成功に結びつくとあります。独立しようとしたキッカケは何ですか? 彼 私の所属していた会社はIT系の中小企業でいわゆる客先常駐型人月ビジネスでした。 要はシステムの開発をお客さんの作業場所で行うというものです。 売り物はその人が持っている技術力だけという、大工さんのようなビジネスです。 かといってお客様の所に常駐してしまうため十分な教育が受けられるわけでもない。今はずいぶん良くなってきましたがIT業界は産業としては未成熟でそんなビジネスがまかり通っていたんですよ。 自分で勉強して、自分で解決して、何とかお客様を満足させなくてはとがむしゃらになった時期もありましたね。 おかげさまで、お客様の信頼を得て営業を通さなくても仕事を発注してもらえる様になりましたが。 で気づいちゃったんです。 自分は社員なんだろうか。会社ってなんなんだろうかと。 独立を意識した最初の頃はこんな感じでした。 この時のお客様との関係が結局会社設立後も続き、ずいぶん助けてもらいましたよ。 キャリッジさん 何をビジネスにするのか自分の強みを分析するとあります。強みは何ですか? 彼 強みというか状況というか、起業につながったポイントは次のものだと思っています。 1) 尊敬している人がおりその人の助言を得られた 2) 見込み客がいた 3) サラリーマン時代に色々な業種のシステム開発に携わった 4) 管理職(プロジェクトマネジャ)を経験していた 5) 仲間がいた。 1)ですが、ある別の大きな会社の先輩がとても面倒を見てくださり、その人のようになりたいと心酔した時期がありました。その影響で何か問題に直面したときに、その人ならどうするだろうと問題を客観視する癖が付いており、それがよかったと考えています。 2)は先ほどお話したとおり、サラリーマン時代のお客様との関係は重要ですね。 3)は2)に絡むのですが、お客様が色々やらせて下さいましたね。会社の上司もいろいろな案件を紹介してくれました。やっぱ信頼って大事ですよ。 4)はチームビルディングやリソースマネジメント、ネゴシエーションなどプロジェクト運営にかかる教育を受けた上で実際に20人規模のプロジェクトと持った経験がそのまま会社運営へ引き継がれていますね。SDIやPOMSといったツールもこのときに学び、会社経営の根幹になっていますよ。 5)は独立を決めたときに一緒にやってもいいよといってくれた人がいたんですよ。しかも自分より優秀な人が3人も。 見込みのお客さんがいて、一緒に会社をやってくれる人がいたらとにかく2年は食っていけるなと思いましたね。 色々思い返すと、運が良かったですね。この運は多分信頼関係から来ている気がします。 プロジェクトマネジャーはスーパーマンか? 日本語版POMS(ポムス)Profile of Mood States キャリッジさん 円満退社が事業反映の必須条件とあります。どのように円満退社しましたか? 彼 あまり円満ではありませんでしたねw。 ある炎上プロジェクトの建て直しに行った時に、失敗の原因を分析して残し次につなげましょうと提案したら、とにかく今を何とかしろと断られたんですよ。 徹夜やビジネスホテルに泊まったりして年末年始もないプロジェクトです。社員の心や体がヘロヘロになっていく中、経営者が本気になってない。 使い捨てか?こんなことを繰り返す気か?と疑心暗鬼になりましたね。 決定的だったのが会社が売られてしまったこと。 今考えれば経営者としては大きな資本に付くことで社員を守れると考えた結果だと思いますが、若気の至りもあって子供が生まれるというのに次の会社も決めないで退職願を出しましたよw。 折角頑張って店頭公開までしたのに子会社になるのも何だかと思いましたね。退職願そのものは至極一般的なものを書いて、直接の上司に渡しました。その後取締役と面会し退職の意思が変わらないことを確認して4年11ヶ月のサラリーマンサラリーマン生活に別れを告げました。 ただ、労働保険に5年以上入っていると独立したときに給付金がもらえる場合があるので、独立するならば5年は勤めた方がいいですよ(^_^) キャリッジさん 事業のコンセプトをしっかりと固めるとあります。独立する際に事業コンセプトなどはあったのですか?先ほどの話ですと勢いで会社を出られたようですが、、、 彼 コンセプトはありましたよ。 新しくコンセプトというよりはサラリーマンという立場上できなかったことをやるといったといったものです。 なのでモデルそのものは前の会社とまったく同じものです。 やりたかったことというのは、 中間コストの大幅な削減 経営機能の分散 独自のツール群確立 一人でも生きていける社員 資金調達 です。これらを5、6人で試行錯誤しながらやって、安定したベースを作ってから新しいことをはじめたいなと考えていました。金のないサラリーマンだったので、5) 資金調達からはじめることになりましたがw キャリッジさん 次回これらのコンセプトについて詳しく聞かせてもらえますか。 彼 長くなりますがお役に立てる情報もあるかと思います。ぜひお願いします。 【今日のポイント】 がむしゃらになった時期 営業を通さなくても仕事を発注してもらえる 問題を客観視する癖 SDIとPOMS 見込みのお客さん 2年は食っていける 5つのコンセプト ←前の記事へ 次の記事へ→
